目指すところ

原稿をつらつら書きながら、色々と思うところがあって、時々、キーを打つ手が停まったりします。
いわゆる由無し事なんですが、その中に「どんな語り手になりたいのか」というもの。
僕はやっぱり土地の匂いのする語り手になりたいんだなぁと思うんです。
その土地の風の匂いでもいいですし、水の味でも良いです。
ちゃんと背景のアイルランドを感じてもらえる語り手になりたいって。
それは舞台で語るのでも、大観衆の前で語るのでもなく、蝋燭や暖炉のあかりを友として、ゆったり語るそれなんだなぁって。
何度も口にしていることですが、それでもやっばりブレそうになるので、改めて書いてみました。

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ちょこっと妖精学 風除け

愛らしい妖精たちと言えばまずせ花々の精が挙がるでしょうか。
洋の東西を問わず、花精、花神などと呼ばれる存在は素晴らしく美しく、またか弱いものとして描かれることが多いようです。
アイルランドでは、ズバリ花精と呼べる存在は聞きませんが、地中海方面では、花の女神であるフローラやニンフなどがそれに当たります。
また中国でも花精のお話はよくよく伝わっています。
書生が恋した白衣の美女は百合の精だったなど、色々と残されています。
そんな彼女たちにとって天敵の1つは風だそう。
花散らしの風と言いますが、嵐などは盛りの花の命を散らしてしまいます。
そんな心ない風を避ける為には、五色の幟を庭に立てると言いなどと伝わっています。

Warwick Goble

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ちょこっと妖精学 西洋ニワトコ

妖精木には色々あります。
よくよく聞くのはサンザシですが、もちろんそれ以外にもあります。
例えばエルダー、西洋ニワトコです。
アイルランドで最も古いと言われているのもニワトコです。
厄除けにも植えられますし、逆に不用意に伐ると祟る怖れられていました。
馬小屋には十字の形にしたニワトコを飾ると妖精避けになると言います。
加えて赤い実が魔除けになると言いますが、サンザシと同じく、ニワトコも最初赤いのですが、熟すと黒くなるのです。その辺りが、妖精木としての性質を表しているのかも知れません。
因みに、実はジャムなどにされますし、風邪予防、咳の改善になるようです。

Cicely Mary Barker

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ちょこっと妖精学 祈願

まだ宗教というものが出来上がる前、信仰だけがあった時代、妖精や精霊は祈りの対象となりました。精霊崇拝という日本ではごく当然の考え方でもあります。
もちろん、欧州の妖精にもそう言った祈りの対象になった存在は多々存在しています。
例えば癒しを願って泉に捧げ物をしたり、獲物を得る為に森の王に祈ったり。
今でも、そう言った祈願の名残は、妖精砦にコインや指輪などを捧げるとか、塚の傍らにあるサンザシなどの妖精木にリボンを結びつけて病気平癒を願う(自然に解けたら結願)などに残されています。

Ida Rentoul Outhwaite

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ちょこっと妖精学 盗み

妖精の仕業の中で、よくよく民話に登場するのは「盗み」です。
一番多く語られているのが、穀物などを盗み出すというもの。
大抵は夜中、穀物倉の鍵穴から侵入し、それはそれは素早い仕事で麦を脱穀して、粉を盗み、あまつさえ道具を散乱させて帰っていくというものです。
殆どの場合で、泣きを見るのは農夫のほうなのですが、中には捕まり、そのまま命を落としてしまうという妖精もいます。
どちらにとっても死活問題なのですが、なんとも哀しいお話です。

William Heath Robinson

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ちょこっと妖精学 憑依

憑依とは霊的な某かが、人に取り憑いて言動に変化が生じたりすることを言います。
日本では狐霊や狗神が有名ですが、妖精にもそういう事があるのでしょうか。
妖精憑きというのは民話などではあまり見かけません。
なぜなら、そういう場合は「取り替え子」としてそもそもすべてが入れ替わっているのです。ただし、欧州に悪魔憑きという概念があり、取り替えられた人を妖精から取り返す場合、多くは悪魔払いと同じ事をしたようです。

Warwick Goble

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ちょこっと妖精学 妖し火

狐が出す狐火というものがあります。
口からフヨフヨと吹き出す吐息が光る等、色々ありますが、妖精もまた時に妖しい光を出すことがあります。有名なのがウイル・オー・ウイスプ。
性悪な鍛冶屋の霊が持つ地獄の残り火とされています。彼はジャックランタンなどの派生系があるとても有名な妖精の仲間です。
他にも燐光を発する妖精たちはよくいますが、その殆どが、彼らが持っている小さなランタンの明かりとして表現されています。
そんな妖し火は時に、道に迷った旅人の前に現れてまるで「ついておいで」と言わんばかりにユラユラと揺れ導くのですが、もちろんその先は正しい道筋などではなく、沼や沢。
哀れな旅人は溺れてしまうと言う結末です。
今では、湿地などに発生したメタンが自然発火して……と言われていますが、果たして。

Margaret Tarrant

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ちょこっと妖精学 跡

日本にもダイダラボッチが腰掛けた山とか、その足跡が湖になったという逸話は多いですね。同じように、妖精譚にもそう言った「由来譚」は多く伝わっています。
例えば、アイルランド南西部を治めていた湖の妖精王が、魔王と会合を開きました。
しかし物別れに終わり、妖精王は船で湖に帰る事になりました。
腹を立てた魔王は大きな石を投げつけたのですが、石は逸れて対岸に。
その時できた大きな穴は今でも残っていて「悪魔のくぼみ」と呼ばれているそうです。
アイルランド南西部ケリー県に伝わるお話です。

Stephen Reid

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ちょこっと妖精学 運

彼らは運を左右します。
それはとりもなおさず彼らが運の運び手として作用するからです。
しかし、彼らにはある意味で、ヒトの理屈は通用しません。
彼らの立場からみた幸運を一方的に贈ってくるのです。
その結果が、どうなるかは、誰も分かりません。
ミダス王になるのか、それともわらしべ長者になるのか。
もしも、そういう場面に出会したとしたら、願うのは「今まで通りで」というのが良いそうです。さてはてふむー

Warwick Goble

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ちょこっと妖精学 彼らの子供

天女と結婚して子をもうける。日本各地に見られる民話です。
同じような、異類婚姻譚はもちろんヨーロッパにも沢山あります。
最も多いのが人魚でしょうか。
彼女たちの血を引く子供は指の間に水かきがあるとか、耳たぶがなかったり、尖っていたりと身体的特徴を備えています。
また母から「必ず豊漁に恵まれる」「呪いの解き方が分かる」「薬草の知識」などを授けられていると言います。
ですがそういった母の愛が、別の方向に現れる事も。

「あなたたちは、人でも人魚でもない。きっと辛い目に遭うこともあるでしょう」
そう言って人魚の母は子供たちを石に変えて砕いてしまいました。

John Collier

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