ちょこっと妖精学 過不足なく

妖精たちが洗濯や家事などの、なにか仕事をするとき対価を求めると言います。
働きに対して当然と言えば当然なのですが、そこには彼らなりの決まり事があるようです。
一番は、過不足なくということ。
対価か少なすぎても怒りますし、逆に多すぎても気分を害するそうです。
例えば屋敷妖精に今までのお礼として上等の上着を与えると「こんな立派な服を着てる俺が下働きなんてする必要ないよな!」とか「こんな上等な物で俺の事を釣ろうなんて!」と言って出て行くとか。
ある鉱山で働いていた妖精は、2週間に一度、賃金を貰う約束をしていたそうですが、少しでも少ないと受け取らず、少しでも多いと超過分を置いていったそうです。

Elizabeth Tyler Wolcott

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ちょこっと妖精学 彼らとの仲と宗教

妖精譚には、見てくれは恐ろしいけれど、性質は至って温和な彼らが登場することがあります。もちろん、とは言っても悪戯をしでかすことは変わらずですが。
或る地方に妖精と仲良くなった少年がいました。その妖精は青いズボンを履いていたそうです。彼は時々、家中の明かりを灯していたり、夜中に駆け回ったりしましたが、概ね善良で、少年との仲は良かったそう。
しかし、その事は教会の知ることとなり、二人の牧師が「消え失せろ! 悪魔め!」と祓ってしまうと、二度と彼は現れなくなってしまったそう。
さて、これが良かったことなのか、果たして。

Oskar Herrfurth

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ちょこっと妖精学 入ってますよ

妖精たちがやってくる家があると言います。
多くは妖精の通り道に家を建ててしまったが為に、夜毎彼らがやって来るというお話です。日本でいう所の「霊道」の様なものでしょう。
けれど、それとは関係なく妖精たちが家にやって来て、部屋を占拠してしまうというお話が伝わっています。
被害者?曰く、帰宅すると、灯りを消したはずの部屋には灯りがともり、なにかザワザワとした気配がする。ドアは押せど引けど開かず、どうやっても入れません。
仕方なく外で待っているとフッと灯りが消え、ドアも普通に開いたそうです。
それを村の古老に話すと「良き人々がなにかしとったんだよ」と。

Mabel Lucie Attwell

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ちょこっと妖精学 水魔

深い淵へ吸い込む水魔、水怪のお話はよく伝わっています。
一番有名なのは人魚や水棲馬、ケルピーの類いですが、他にもビーバーに似た水怪アーヴァンクなどバラエティに富んでいます。
彼らは淵にいる限りはほぼ無敵ですが、やはりそこから引きずり出されると力を失うようです。ある民話では、ヒトの力では引きずり出せないが、雄牛を使えば、引きずり出せるとか。それは乙女を引きずり込もうとした水怪が「あの時、雄牛を使われなかったら、俺は未だに水の底にいたものを!」と自ら語ったそうです。

Ida Rentoul Outhwaite

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目指すところ

原稿をつらつら書きながら、色々と思うところがあって、時々、キーを打つ手が停まったりします。
いわゆる由無し事なんですが、その中に「どんな語り手になりたいのか」というもの。
僕はやっぱり土地の匂いのする語り手になりたいんだなぁと思うんです。
その土地の風の匂いでもいいですし、水の味でも良いです。
ちゃんと背景のアイルランドを感じてもらえる語り手になりたいって。
それは舞台で語るのでも、大観衆の前で語るのでもなく、蝋燭や暖炉のあかりを友として、ゆったり語るそれなんだなぁって。
何度も口にしていることですが、それでもやっばりブレそうになるので、改めて書いてみました。

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ちょこっと妖精学 風除け

愛らしい妖精たちと言えばまずせ花々の精が挙がるでしょうか。
洋の東西を問わず、花精、花神などと呼ばれる存在は素晴らしく美しく、またか弱いものとして描かれることが多いようです。
アイルランドでは、ズバリ花精と呼べる存在は聞きませんが、地中海方面では、花の女神であるフローラやニンフなどがそれに当たります。
また中国でも花精のお話はよくよく伝わっています。
書生が恋した白衣の美女は百合の精だったなど、色々と残されています。
そんな彼女たちにとって天敵の1つは風だそう。
花散らしの風と言いますが、嵐などは盛りの花の命を散らしてしまいます。
そんな心ない風を避ける為には、五色の幟を庭に立てると言いなどと伝わっています。

Warwick Goble

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ちょこっと妖精学 西洋ニワトコ

妖精木には色々あります。
よくよく聞くのはサンザシですが、もちろんそれ以外にもあります。
例えばエルダー、西洋ニワトコです。
アイルランドで最も古いと言われているのもニワトコです。
厄除けにも植えられますし、逆に不用意に伐ると祟る怖れられていました。
馬小屋には十字の形にしたニワトコを飾ると妖精避けになると言います。
加えて赤い実が魔除けになると言いますが、サンザシと同じく、ニワトコも最初赤いのですが、熟すと黒くなるのです。その辺りが、妖精木としての性質を表しているのかも知れません。
因みに、実はジャムなどにされますし、風邪予防、咳の改善になるようです。

Cicely Mary Barker

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ちょこっと妖精学 祈願

まだ宗教というものが出来上がる前、信仰だけがあった時代、妖精や精霊は祈りの対象となりました。精霊崇拝という日本ではごく当然の考え方でもあります。
もちろん、欧州の妖精にもそう言った祈りの対象になった存在は多々存在しています。
例えば癒しを願って泉に捧げ物をしたり、獲物を得る為に森の王に祈ったり。
今でも、そう言った祈願の名残は、妖精砦にコインや指輪などを捧げるとか、塚の傍らにあるサンザシなどの妖精木にリボンを結びつけて病気平癒を願う(自然に解けたら結願)などに残されています。

Ida Rentoul Outhwaite

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ちょこっと妖精学 盗み

妖精の仕業の中で、よくよく民話に登場するのは「盗み」です。
一番多く語られているのが、穀物などを盗み出すというもの。
大抵は夜中、穀物倉の鍵穴から侵入し、それはそれは素早い仕事で麦を脱穀して、粉を盗み、あまつさえ道具を散乱させて帰っていくというものです。
殆どの場合で、泣きを見るのは農夫のほうなのですが、中には捕まり、そのまま命を落としてしまうという妖精もいます。
どちらにとっても死活問題なのですが、なんとも哀しいお話です。

William Heath Robinson

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ちょこっと妖精学 憑依

憑依とは霊的な某かが、人に取り憑いて言動に変化が生じたりすることを言います。
日本では狐霊や狗神が有名ですが、妖精にもそういう事があるのでしょうか。
妖精憑きというのは民話などではあまり見かけません。
なぜなら、そういう場合は「取り替え子」としてそもそもすべてが入れ替わっているのです。ただし、欧州に悪魔憑きという概念があり、取り替えられた人を妖精から取り返す場合、多くは悪魔払いと同じ事をしたようです。

Warwick Goble

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