ちょこっと妖精学 堕ちた神

妖精伝承を紐解いてゆくと、もともとはその土地特有の神様だった存在が、キリスト教の流入により、魔神や悪魔に堕ちたという話に良く出会います。
妖精伝承で多いのは、北欧の神オーディン。
彼は、キリスト教が支配的になってゆくに連れ、冬の大公。極寒の夜吹き荒ぶ風の魔物、ひしては魔王に変化していきます。
そう言った魔王や悪魔は、自らと契約した魔女の魂を狩ると言われていますが、ある伝承では、北欧の妖精エルフたちを駆っていると言います。

Harry George Theaker

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ちょこっと妖精学 銀貨

妖精たちからもたらされる物で、有名なのは銀貨です。
もちろんただの銀貨ではありません。
古いとか、それなのに質が良いという価値的なこともさることながら、たいていの場合、使っても使っても財布の中に戻ってきているのです。
使ってもなくならないお金。
そう聞くとなんだかとってもお得な気がしますよね。
ですが、民話で登場する人たちはだんだん怖くなって教会に持ち込むのです。
牧師さんがご祈祷すると、銀貨はまるで氷が溶けるように無くなったそう。
ある教会では、暫く前まで妖精の銀貨が保管されていたと言いますが……。

Hester Margetson

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ちょこっと妖精学 富貴

妖精たちと関わって時に人は富や幸運を得たりします。
もちろん、それは彼らが貯めている金貨を奪い取るという方法もあるのですが、中には捕まえると、というちょっと難しい方法もあります。
ある地域では、それは豚の姿をした妖精で、白くてツヤツヤしているのですが、耳だけが赤いとか。この耳だけが赤いというのは、妖精種の特徴で、妖精犬や妖精牛も同じです。
これを捕まえると幸せが訪れると言いますが、多くの古老は伝えています。
「放っておいた方が良い」と。
思いがけない富や、身の丈以上の物を得ると、必ずしっぺ返しが来ると言う教えなのかも知れません。

Leonard Leslie Brooke

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新刊でます! 

星海社さんから新刊『サブカルチャー妖精学』が出ます!
今回の本は、妖精学から見たアニメやゲームの解説本……というよりも、こういう視点でみたらまた違った面白さがあるかも知れないよ? という案内書です。
決して、お堅い本ではありません😅

書影はまだですが、
・魔法使いの嫁
・ツイステッドワンダーランド
・女神転生
などなど新旧取り混ぜてアニメや漫画を紹介してます。
あと刀剣乱舞も少し(笑)。

10月25日発売
星海社新書 定価1,375円 Amazonや楽天ブックスなど、各通販サイトで予約開始しています。宜しくお願いします!

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ちょこっと妖精学 結婚式

お話にはしばしば妖精の、とりわけ小人の結婚式の場面が出て来ます。
多くは王様のところにやって来て、広間を貸してくれと言うのです。
そしてこの事は秘密にして欲しいと。
王様は戸惑いながらも快諾すると、彼らは「あなたを式に紹介しましょう」。
結婚式は素晴らしく王様は、自分の親族の結婚式のように楽しんでいました。
しかしその時、天井から大きな顔が写りました。
なんと奥方様が覗いていたのです! 奥方様が小人の音楽を聞きつけてやって来たのでした。あっと言う間に、彼らは煙のように消えてしまいました。
さて、この後、どうなったのでしょうか。
妖精たちは、王様に広間を貸してくれたお礼に、一族が繁栄する祝福を。
そして秘密をばらした報いとして「王様の一族は7人以上子供は増えない」という呪いをかけたのでした。

Margaret Tarrant

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日本、北欧、浮世話 @音や金時

ハープ奏者の梅田千晶さんフルート奏者の矢島絵里子さんとの会、つつがなく終了しました〜! いや、ほんと演者が何より楽しんだ会となりました。

音や金時さんの手書きの看板に名前が〜。有り難いことです。

おふたりの素晴らしい演奏は元より、語りの合間合間に入れてくれる即興や、効果音、短いフレーズなどがなんとも盛り上げてくれました。ほぼ音楽劇?という仕上がり。
特に、トロールの結婚式のシーンなんて最高でしたね。
梅田さん、矢島さん、ありがとうございます。

今回、久しぶりに天狐譚ということで、稲荷明神縁起などを語らせて頂きましたが、味をしめた僕らは次は人魚譚東洋&西洋! なんてのを考えてます。
その時は、ぜひ宜しくお願いします!

さて、23日土曜日は琵琶弾きのコタロウ氏と高円寺ぽれやぁれさんで共演です。
語って語り尽くしますよー。詳しくはこちら

演目@音や金時 /抜粋
あんたがたどこさ
とうりゃんせ
向こう横丁のお稲荷さん
Fox Hunter (Irish)
Trollens burd marsch (Swedish)
以上、演奏
民部稲荷譚
相撲稲荷譚
青鷺と狐(アイルランド民話)
ティース湖の由来(北欧民話)

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ちょこっと妖精学 開けゴマ!

開けゴマ、Open Sesame! とはアリババと40人の盗賊に登場する魔法の洞穴の扉を開ける呪文です。アイルランドで宝物と語られる事の多いのはレプラコーンです。彼の貯め込んだ金貨はタンポポの根本や、虹の袂に埋まっていると言います。
ですが、ある民話ではとある洞穴に隠しているそう。
その洞穴を開けるのは呪文は必要はありませんが、開いているのは西日が差し込んでいる間だけだそう。日が沈みきる前に、宝物を運び出せれば良いですが、もしも欲をかいて日が沈み扉は……というのは、お約束ですね。

Arthur Rackham

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ちょこっと妖精学 使い魔

使い魔というと、式神や護法童子が有名ですが、伝承には妖精を使い魔としている人物が登場することがあります。
ある地方を支配していた性悪な領主は、邪妖精を使い魔としていた為に、どんな闇討ち暗殺をも掻い潜れたそう。最期は悪運が尽きたか捕らえられたそうですが、それでも体を鍋で似られるまで死ななかったそうです。なんともはや。
因みに、その処刑された場所というのは「九つの石の丘」だそうで、もしかすると邪妖精はそこでやっと悪領主の呪縛から逃げられたのかもしれませんね。

Richard “Dickie” Doyle

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お話を集めていて

本の上でも、現地でも、お話を集めていて思うことがあります。
それは、そのお話が古い物か、それとも近年出て来たものか、ということ。
何度も話していますが「お話」は生き物で、時代や語り手、そして聴衆の影響を受けて存在しています。時代と共に変わっていくんですね。
ですから、妖精たちの立ち位置といいますか、影響力もまた変わってきます。
例えば、ジャガイモ飢饉の時に発生した、もしくは変容したお話には、それが強く表れています。妖精たちはスケープゴートにされていたり、癒しの運び手であったり。
またキリスト教の影響度合いも、それを測るバロメーターになります。
有名な「リルの子供たち」はかなりキリスト教の影響の強いお話と言えます。
また妖精が単純に『自然の精』と表現されている場合も存外新しい物だったりすることも。
どれが良い悪いではなく、等しくその土地のお話です。
ただその時に「これはケルトのお話だ!」と括られることになると注意が必要だなと思ったりするのです。そもそもアイルランド=ケルトではないですしね💦

しみずとしやす

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ちょこっと妖精学 魔王

人にとって植物は建材に食料に、そして燃料として大変有用で、切っても切れない縁があります。それは伝説や民話にもよく登場するところからも伺えます。
例えばハンノキ。水辺を好む特性から水の精霊の木などと言われています。
面白いことに、シューベルトの歌曲として有名なゲーテの「魔王」。
このお話は、もともとゲーテの友人であったヨハン・ゴットフリート・ヘルダーの『民謡集』からヒントを得ているそうです。
ヨハンの民謡集から取り上げられたのは『魔王の娘』という詩。
内容としては、魔王の娘が、青年を誘惑しようとしましたが、結婚式を控えた青年は、その誘いを断ってしまうのです。
怒った魔王の娘は、青年に呪いの一撃を加え、青年は命を落とす……。
原題では『ハンノキの王の娘』となっているのです。
しかしこれはヨハンがデンマーク語から訳したときの誤りと言われていて、デンマーク語では『妖精の一撃』と言ったそうです。妖精とハンノキの綴りが似ていたから起こったと言われていますが、ドイツなど欧州にある木に精霊が宿るという考え方をなぞった敢えての変更という見方もあるそうです。
どちらにしろ、木には某かの精が宿り、それは得体の知れず、時に人に不幸をもたらすことが有るという伝承がベースになっているようです。

Carl Gottlieb Peschel

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