妖精の中には、人には伝わらないけれど、言葉を話す者がいます。
例えばイギリス中部に伝わる妖精譚ですが、水に住む妖精を漁師が釣り上げることがあったそう。その手に触れると凍傷になり、痕は一生消えないとか。船底に入れておいたり、い草をかけておくと溶けて無くなってしまうそう。一見クラゲかと思われますが、彼らは言葉を話したそうです。しかし、それは全く通じなかったとか。

Edmund Dulac
妖精の中には、人には伝わらないけれど、言葉を話す者がいます。
例えばイギリス中部に伝わる妖精譚ですが、水に住む妖精を漁師が釣り上げることがあったそう。その手に触れると凍傷になり、痕は一生消えないとか。船底に入れておいたり、い草をかけておくと溶けて無くなってしまうそう。一見クラゲかと思われますが、彼らは言葉を話したそうです。しかし、それは全く通じなかったとか。
Edmund Dulac
9月29日はミカエル祭として、イギリスなどではお祝いが行われます。
調べてみると、この日は大天使ミカエルだではなく、すべての天使に捧げられた日だとか。
このようなキリスト教の祝祭日は元々はその土地の節季であったりすることが多いようで、イギリスの四大節季だったとも伝えられているようです。
この日を境にいよいよ太陽の力は弱まり、妖精たち、とりわけアンシーリーコートや邪妖精の力が強くなってゆきます。それはハロウィンにまで連なる季節の移り変わり。
有名な所では、変身妖精プーカが、この日を境に、黒苺は自分の物だと踏みつぶしたり、オシッコをかけたりして食べられなくしてしまうとか。
Cicely Mary Barker
取り替え子は妖精たちのしでかす悪戯で最も酷いものの一つです。
その対抗策はたくさん伝わっています。
蹄鉄を揺り籠に入れる等ありますが、最も簡単で良く行われていたのが、赤ん坊を見たとき、褒めたとき、必ず「Bless you!」と祝福を送り十字を切ることだそう。
祝福され十字を切られたものに対しては、妖精は手出しできないそうです。
Warwick Goble
アザラシ妖精についてのお話は、オークニー諸島やシェトランド諸島に多く伝わっています。いくらかの違いはありますが、多くの筋は同じでアザラシの毛皮を脱いだ乙女を男が嫁にして……という天人(人魚)女房と同じです。
こうした説話は、新しい部類に入るようで、どうやら指の間に水掻きがある、何故か豊漁に恵まれる漁師、そして不世出の英傑の出自の理由とされたようです。
“Kópakonan”, in Mikladalur.
本に纏められている有名な妖精譚ではなく、土地にひっそり伝わっているものを翻訳していると、時々「お小さい人」が登場します。
彼らは前ぶれなくやって来て、お茶などをしていきます。
当時のアイルランドでは、そんな風にお客さん(もちろん人の)がやって来るのは普通のことでした。そういう人たちをトラベラーとか言ったりするのですが。
そんな時、彼らは某か忠告していったり、その家が長年悩まされている事についての解決法を教えてくれたりするのです。
Stephen Reid
フェアリーピンチングという彼らの仕業があります。
直訳すると「妖精つねり」。つまり彼らが抓った跡ということ。
自分でも覚えのない青あざは、彼らが抓ったというのです。
もちろん、これにはそれ相応の理由があるとされ、一番には彼らの私生活を覗き見したとか、不用意に彼らの秘密をバラしたなどが挙げられます。
もちろんその程度で済んだとしたら、それはそれで僥倖なのですが。
また部屋が汚いなどでもつねられることがあったそうです。
他にも口唇ヘルペスは菓子食べすぎを咎められたとか、生活の乱れなどを戒める際に彼らが使われたことが多かったようです。
Hester Margetson
琵琶語りのコタロウさんとの2人会『語り手』。
盛況の内に終了しました!
サンソンライアーと琵琶。
なかなかの取り合わせですよね。
今回は異類婚姻譚がテーマと言うことで
コタロウさんは安倍晴明生誕伝説『葛の葉』『鯛の婿入り』『膝枕』
僕は『ゴルラスの夫人』『攫われたお姫様』『フィンヴァラ王』を。
コタロウさんの琵琶語りは、本当に凄かったんですよ。
ああ、弾き語りってこういうことなんだなぁって感心しきり。
とっても勉強になりました。
コタロウさん、またぜひ! 今度は僕が九州に行きますね〜♪
人魚が被っている帽子はコホリンドリューといい、三角形の小さな赤い帽子だそうです。これがなければ彼女らは水底の国に帰れなくなります。
この帽子は一種の魔道具だそうで、人間もかぶれば水の中で自由に行動出来るそうです。
帽子というのが広く語られていますが、中にはショール、王冠、そして櫛というバリエーションがあります。特に櫛で語られる場合は、潜水帽としてではなく、彼女らの魔力の源と説明されています。波を招き、豊漁をもたらす力も、その櫛に宿っているとか。
Arnold Böcklin,
妖精伝承を紐解いてゆくと、もともとはその土地特有の神様だった存在が、キリスト教の流入により、魔神や悪魔に堕ちたという話に良く出会います。
妖精伝承で多いのは、北欧の神オーディン。
彼は、キリスト教が支配的になってゆくに連れ、冬の大公。極寒の夜吹き荒ぶ風の魔物、ひしては魔王に変化していきます。
そう言った魔王や悪魔は、自らと契約した魔女の魂を狩ると言われていますが、ある伝承では、北欧の妖精エルフたちを駆っていると言います。
Harry George Theaker
妖精たちからもたらされる物で、有名なのは銀貨です。
もちろんただの銀貨ではありません。
古いとか、それなのに質が良いという価値的なこともさることながら、たいていの場合、使っても使っても財布の中に戻ってきているのです。
使ってもなくならないお金。
そう聞くとなんだかとってもお得な気がしますよね。
ですが、民話で登場する人たちはだんだん怖くなって教会に持ち込むのです。
牧師さんがご祈祷すると、銀貨はまるで氷が溶けるように無くなったそう。
ある教会では、暫く前まで妖精の銀貨が保管されていたと言いますが……。
Hester Margetson