ちょこっと妖精学 鬼火

日本で怪しい火、つまり鬼火というと人魂で、幽霊が現れるときに付きもののイメージがあります。いわゆるヒュードロドロドロ〜という奴です🔥
妖精譚の本場アイルランドやイギリスでも、鬼火は何かしらの因縁があって地上に止まっているとされています。
ただ、あちらでは幽霊と妖精は別けがたく、鬼火もまた妖精たちの仲間とされているのが違いでしょうか。

有名な所でいえばハロウィンのオバケカボチャであるジャックランタン。
これは生前悪魔と取引し、その取引を有耶無耶したた飲んだくれが、天国にも地獄にも行けず地上を彷徨っている、その姿だとされています。
どうやら日本の人魂のように未練や怨恨があって彷徨っているというよりも、何かしらの罰を受け、死後の安寧を得られない魂だというのです。
この辺りは、日本とキリスト教圏の価値観の違いが現れているところですね。
ある伝承では、隣家との土地争いで、その境界線を勝手に書き換えた、不当に騙して土地を広げた人の魂が、天国の門を潜れず、さりとて煉獄に行くほどでもない為に、鬼火になると言われています。
この辺りは、妖精は堕天使だという説と同じです。

妖火になるなら、この絵のように、可愛く、そして愉快に灯っていたいですね。

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妖精たちの囁き茶話 感謝祭ver,終了しました

恒例になった船橋はOnce upon a timeさんでのお話会(企画コストマリー事務局)。
今回は感謝祭、Thanksgivingということで、肉祭でした!

もう言うことなしですね!
オーナーのホビットさん渾身の饗宴メニューです。
ということもあり、今回は妖精の食事、食べ物に注目した物語を語らせて頂きました。

妖精たちの食べ物って、基本は口にしてはいけないとされています。
食べてしまうと、彼らの魔法がかかり、一生、人の世界に戻れなくなるとか。
でも、彼らの食事はそれはそれは美味しそうで、どうしても食べてしまうのが人情。
そういう不幸なお話もあるかと思えば、中には食べたことで幸運がもたらされる場合もあって、まぁ一筋縄ではいきません。
そんなお話に交えて、日本の民話からもいくつか。

そして今回は感謝祭で恒例の昼夜2回公演だったので

太陽と月をイメージしたお話の灯火の魔法陣。そして

ネクタイも装身具(孔雀洞雑貨舗さん)もそれに併せて変えてみました。如何でしょうか。
最期は、恒例となったアサシンモードをパチリ📷💥

ただ調弦してるだけなんですけどね💦
次回は12月17日! こちらで今年のOnceさんでのお話会は終わり。
来年もまた色々と企画していますのでぜひコストマリーさんのWebなどをチェックしてくださいね。

もちろん、僕の会はまだまだ続く訳で、12月9日は矢島さんとの冬の集い 木枯らしと物語。
お申し込み等はこちら

そして23日は中村さん、渋川美さんとの古楽の集い。
こちらのお申し込みも、こちら。

宜しくお願いします!

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ちょこっと妖精学 彼らの呼び方

妖精たちを「フェアリー」「エルフ」などと呼んではいけない。「妖精さん」なんてもっての外、というのは妖精学では基本の「き」です。

Margaret Tarrant

この辺りを顕著に読み込んだ有名な詩が「スコットランド民謡集 / ロバートチェインバース」に収められています。

「インプ」か「エルフ」とお呼びなら、
よくよく気をつけて下さいな、
「フェアリー」とわたしをお呼びなら、
いろいろじゃましてあげましょう、
「良いお嬢さん」とお呼びなら、
あなたの良いお嬢さんになりましょう、
だけど「すてきなシーリー」とお呼びなら、
昼も夜も、良い友だちになりましょう。

なんて書かれていますから、よっぽど駄目なんでしょうね。
こういうちょっとした不機嫌には「フェアリーピンチ / 妖精抓り」をされてしまいます。
身に覚えの無い青あざは彼らに抓られた証なんです。
ちなみにシーリーとは「祝福された」という意味だそうです。
きっと妖精呼び、フェアリー呼びというのは、日本人に対して外国の人が「おい、そこの黄色いの!」と呼びかける(ヘタしたらもっとどぎついかも)事に近いのかも知れません。

さて、そんな呼び方で有名なのは、アイルランドの「紳士方(ジェントリー)」「良き人々(グッドピープル)」ですが、上記に出て来たスコットランドでは「おちびさん」とか「おちいさい人」という呼び方もあったそうです。
確実に小妖精の分類される彼らを指して言った言葉ですが、なんとも愛らしいですね。

Margaret Tarrant

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文学フリマ37 楽しんできました!

11月11日の東京流通センターで開催された文学フリマ37に参加してきました!
今回は、お話の小屋で2、妖精砦と牧夫、サブカルチャー妖精学の新刊と既刊を引っ提げて?の出店でした。

予告の通り、結婚式の帰りのような服装です。あはは。


いやぁ、噂には聞いていましたが、凄い人でしたね〜!
本当に色んな作家さん、サークルさんが出店してて、こんなことを研究してる人がいるんだ! とか、まさか! と言うような本まで百花繚乱。

今回は初参加ということもあり、パタパタしてて回れませんでしたが、次はお財布握りしめて会場を回るぞ〜。

次回のイベント参加は12月3日のコミティアです。
新刊は「モジャミ通信2023」を予定しています。
こちらは今年のアイルランドフィールドワークの報告書のような旅行記で、熊噛さんに表紙等を描いて頂いています!

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ちょこっと妖精学 彼らの食べ物

彼らはどんなものを食べているのでしょうか。
花の蜜や甘い物というイメージがありそうですね。
あるお話では、彼らは一瞬にして遠くまで行けて姿を隠せるので、世界中の美味珍味を味わっているそうです。キプロスの松露や、貴腐ワインなどお手の物だとか。

John Anster Fitzgerald

ですが、ある民話では、彼らの食べ物が美味しそうなのは、見せかけだけで、実際は蚊の目玉や、ヒキガエルの臓物、蜘蛛の集めた蜜なんかを食べているというお話もなります。
ちょっと遠慮したいですね。

別のお話では、妖精バター、魔女のバターと言われているシロキクラゲの仲間を好んで食べている妖精たちもいるようですが、キノコ類が好きというのは確かに似つかわしいですね。

https://greenwichhistory.org/colonial-recipes-fairy-butter/ より

面白いなぁと思うのは、1770年代の料理本の載せられていたという食べられる妖精のバター。実際には彼らのバターは使われていませんが、なかなかに面白そうですね。

話を妖精たちに戻しましょう。どちらにしろ、彼らの食べ物を食べてしまうと妖精の魔法にかかってしまい、彼らの自由にされてしまうというのはお約束ですし、名作「スパイダーウイック家の謎」では、彼らの食べ物を食べてしまうと、妖精の食べ物しか口に出来なくなってしまうというお話が。

では彼らの食べ物すべてが剣呑かというと、そうではなくて、彼らからのお礼として差し出された物に関しては問題無く食べられるというお話も伝わっています。
曰く、妖精の子供がスコップを壊したことで泣いているのを見つけた農夫が、それを直してあげるとお礼にケーキ(のようなパン)をくれたそうです。
農夫の仲間は食べるなと忠告したそうですが、農夫は問題無いだろうと食べたそうです。
それはとても美味しくて、その後、農夫は幸運に恵まれたと伝えられています。

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ちょこっと妖精学 閉じた環

ハロウィンを過ぎ、暗い季節が始まりました。
これから5月1日のベルティネまで邪妖精が幅を利かせる訳ですが、やはり「攫われる」事に関して言えば、ハロウィンの夜がもっとも危険のようです。
では、攫われた人を取り返す術はないのでしょうか?

これに関して言えば、大まかな方法はふたつ。

ひとつは、攫われた本人が、一時的にしろこちら側に戻ってきて、助けを請う方法。
これには様々な条件があり、まず攫われた人が妖精たちの食べ物を口にしていないことが絶対条件となります。どういう場合であれ、一度でも彼ら背の食べ物を口にしてしまえば、彼らの許可なく、自発的に戻ってくることはでは出来ないのです。
運良く口にしていない場合に限り、戻ってこられるチャンスがあるのです。
それは彼らが遊行、ないしは妖精砦から妖精砦に移動しているときに、乗っている馬から引き引きずり下ろすというもの。
些か乱暴のようですが、彼らが村境の十字路にさしかかったときがチャンス。
うまく引きずり下ろせれば成功ですが、少しでも鞍や鐙に体が引っかかってしまうと不成功。霧散する彼らと共に被害者は消えてしまい、二度と助けることは出来ません。

もうひとつは、攫われた場所に戻ってみるというもの。
これは単純に戻れば良いのではなく、攫われた理由が、彼らの踊りの輪の中に入った、という被害者が自分から彼らの中に参加した場合が多いようです。
これもまたただ攫われた場所に戻れば良いのではなく、来年の同じ日という条件付き。
その時になると、1年経っても彼らと踊り続けている被害者を見つけられるのです。
そして決して彼らの踊りの輪の中に入らずに、引っ張り出せれば成功。
ただ、成功しても、爪先が磨り減っていたり、極度に衰弱していたりするそうです。

このふたつの方法。もうお気づきかも知れませんが、遊行する彼らに出会うにしろ、攫われた場所に戻ってみるにしろ、どちらも彼らの祝祭日であるハロウィンやベルティネに紐付けられているのです。

彼らの世界と繋がることの出来るふたつの祝祭日。
被害者を助けるには、その日まで待つことが1番の方法なのかも知れません。

Gustave Doré

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ハロウィンだ!

さー、ハロウィンですね〜。
いやぁ、、今年は暖冬だそうで、なんともほのぼのとした日和ですが、皆さんはどんなハロウィンを過ごされるのでしょうか。

今宵はね、デュラハンや邪妖精、退屈している妖精王がやって来るので夜歩きせず家で居るのが1番。
ハロウィンに付きものの、リンゴのお菓子や、バーンブラックを食べて過ごしましょうね。

本当はねー、バーンブラックとか焼いてみたいんですが。
バーンブラックは、ハロウィンの時分に焼かれるパンと菓子の間のようなもので、中に指輪などが入っていて、いわゆるガレドロアの様に占いが出来るお菓子です。

指輪  1番最初に結婚出来る
布きれ 貧乏になる
棒   旅人になる

ちょっと布きれは嫌ですねぇ。
現地アイルランドではこんな感じ。

この時期、どこのスーパーでも売られていますし、各家庭で手作りされていたりも。

さて、今まで毎日アップしてきたちょこっと妖精学ですが、少し頻度を下げますね。
その代わり、週に2回くらいかな? 長めのをアップしていこうと思います。
それでは、みなさん良いハロウィンを〜

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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 7

いよいよハロウィンです。
この日は太陽の力が弱まったことがより強くなり、冬至(ユール。伝統的にアイルランドではユールはそれほど重要視されていませんが)を経て光の兆しが現れる2月1日のインボルグ、5月1日のベルティネまで、闇の季節です。
妖精王は愛馬で遊行し、亡霊たちは跋扈します。
トリックトリートも夕暮れまで。日が沈んだら、家でリンゴの占いや、バーンブラックを頂ながらお話などに耳を傾け、夜は首無し騎士妖精のデュラハンの来訪に備えて窓の鎧戸をすべて閉めるのです。デュラハンはハロウィンの夜、哀れな犠牲者を探しに来るのです。

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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 6

今ではすっかりカボチャがハロウィンに欠かせないものとなりました。
ですが、本場アイルランドではリンゴでした。
リンゴ囓りゲームなどのお話は先にもしましたが、では何故リンゴなのでしょうか。
そもそもリンゴは妖精の世界、つまり他界と関係のある果物なのです。
例えば妖精郷として名高いティル・ナ・ノーグ、常若の国では、もいでももいでも実り続けるリンゴの木が幾つも生えていますし、戦いの女神でもある妖精(亡者)たちの女王モリガンも、リンゴをアトリビュートとしていたなんて話が有ります。
お隣りイギリスには、接ぎ木をしたリンゴは妖精たちの領域という話も伝わっていますし、日本の桃と同じように「神秘」に事欠かない果物なのです。


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ヤドリギの集い、つつがなく終了しました

28日は初群馬! 前橋市の素敵なお店yadorigiさんでお話会でした。
もう、前日から「こんな感じで設えたんですが〜」と送られてくる画像が素敵すぎて!

雰囲気満点ですよね!
そもそもyadorigiさん自体がお話に出てくる魔法店のような雰囲気ですからね!

今回の会は、そもそも共演者の渋川美香里さんが小学校の頃、前橋に住んでいたそうで、そんな色んなご縁が重なっての開催でした。こういうご縁は大事にしなきゃですね。

いよいよ当日。

画角に入ってませんが、お部屋には素敵なお花が至る所に飾られてて、その瑞々しい香りが満ちていました。いいなぁ生花の香り。
僕らもワクワクとお喋りしたりして開演時間を待ちます。
→リハーサルはどうした?

「お話の灯火」にも火を入れて、さぁ音楽と物語の会を始めます!

会の最中にはyadorigiさんのご厚意でヤドリギ茶やお菓子なども振る舞われ、終始和やかムードでした。いや本当にマジカルで素敵な会になりました。
yadorigiさん、共演の渋川さん、そして来て下さった皆々様、ありがとうございます。
また近いうちに是非ここで!

演目
ロバートアップヒューの写本より
エスタンピー
Douce dame jolie
ハロウィンに纏わるお話 3編……etc

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