ちょこっと妖精学 花の精

妖精といえば、祖霊、土地神、幽霊と、様々なタイプがいますが、一般的に言えば、やはり花の精になると思います。

メアリーシシリーバーカーなどの作品にふれても、可憐に、そして艶やかに咲く花々の傍らに、愛らしい妖精の姿はとても似つかわしいですね。

では、具体的に花々の精……というと、意外と少なく、アイルランドに関して言えば、木霊などの巨木、古木が魂を持ったものが時折見られる程度で、ほとんどがサンザシやスピノサスモモなどに妖精たちが住んでいるというのが定番です。つまり妖精たちが好む花はあるけれど、花そのものが妖精に……というのはあまり見られないのです。

アイルランドで出会ったブラックソーン(スピノサスモモ)

では、花の妖精はいないのかと言われると、もちろんそんなことはなく、ギリシアにはニンフという花木に宿る精霊がいますし、おとなり中国には花神と呼ばれる花の神様がいます。

その中で、一番「妖精らしい」と言えば前述のギリシアの妖精ニンフの中にいるクロリスでしょうか。
もともと彼女は樹木のニンフだったのですが、西風の神ゼピュロスに見初められ、略奪されました。そしてイタリアに連れてこられて、そこで花の神となったそうです。
一説には、ゼピュロスの妻になる代償として花の神の権能を得たとか。
ちょっとどうなの? という神話ですが、まぁ、ギリシア神話ですから💦

1世紀のローマ・フレスコ画に描かれたフローラ

とまれ、花々を司る女神になったクロリスは、のちにローマ神話のフローラとなり、植物相を意味する言葉になったり、五月祭での主神となったり豊穣神、春の女神となったりと、果てはお店の名前になったりと、意外と私たちの周りに散見されます。

昔から、花は私たちの身近にあって、心を和ませてくれたり、美の象徴、豊かさの象徴なんですね。

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