ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 5

ハロウィンの広告にはよく黒猫が描かれていることがあります。
きっと魔女のお供、使い魔として(なにより可愛い)登場しているのでしょう。
そもそも猫は、アイルランドの民話によっては「すべての猫が妖精である」とさえ言われているのです。彼らは彼らの王を持ち、秘密の王国を持っています。
そしてハロウィンや5月1日前夜などには集まって、人間がどれだけ愚かか話し合っているそうです。その場所の多くは、打ち捨てられた果樹園だそうですが、ちなみに果樹園は、昔から妖精郷と繋がる場所とされています。もちろんそれを覗き見れば……剣呑剣呑。

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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 4

ハロウィンの夜は妖精たちがこちら側にやって来る夜。
ですが同時に彼らの引っ越しシーズンなのです。
彼らが居城にしている妖精塚や妖精砦。逸話や民話によってその有り様はまちまちですが、どうやら他の砦などと繋がっているようなのです。それは秘密の地下道を通ってだったりもしますが、多くは風になったり騎馬行列を組んで移動するのです。
その理由はハッキリと分かっていないのですが、どうやら古の暦に合わせて移動しているようです。彼らは大地の豊穣神としての側面があるので、暦に支配されているのかも知れませんね。そして、その行列に出くわすと、攫われたり、呪われたりという流れに。

「ハロウィンの夜? ああ、家で呑んでるな」

これは妖精王伝承のある土地の人の言葉。
やはりハロウィンの夜は出歩かない方が良いようです。

“A Thrilling Hallowe’en.” Chromolithograph postcard, ca. 1910. Missouri History Museum Photographs and Prints collection. Postcards. n39414.
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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 3

ハロウィンは過去と現在、此岸と彼岸の境界線が溶け合う時間です。
というわけなんでしょうか、この夜は占いが盛んに行われます。
今でもゲームとして行われているのが、リンゴ囓りゲーム。
これはタライに浮かべたリンゴを、手を使わず口で取るというもの。
もちろん難しいのですが、取れた人には幸運が訪れるとか。
他にも、ハロウィンの夜、十字路に行って耳を澄ませると、風がこの先1年間に起こることを伝えてくれるなど、様々な占術が伝えられています。
でも最も多かったのは、未来の結婚相手を知るというもの。
夜半、誰にも知られず亜麻の実をもって畑に行き、呪文を唱えながらそれを撒く。
そうして撒き終わった後、実った亜麻を引き抜く真似をしていると、肩越しに未来の伴侶が垣間見えるそう。
しかし、この夜はそもそも死霊や邪妖精も跋扈するのです。
中には占いをしに水辺に赴いたため、水棲馬に貪り食われたという娘の話も……。

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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 2

ハロウィンにはカボチャ。
そんな風に思われていると思いますが、元々はカブなんです。
そもそもジャックオーランタン(鬼火妖精)のお話は、飲んだくれの鍛冶屋のジャックが地獄にも天国にも行けず彷徨っていると、煉獄の悪魔が哀れんで、燃え盛る地獄の業火から消し炭をひとつ、彼に……という流れ。
この時、消し炭の僅かな火が消えないように慌ててランタンにしたのが、カブだったんですね。なぜカボチャじゃないのか。それはアイルランドにはもともとカボチャは無かったんです。カボチャという名前もカンボジアから来ているとか、漢字も南瓜と南方の野菜。
北方のアイルランドでは育たないそう。
ではどうしてカボチャになったかというと、アイルランドから多くの移民が渡ったアメリカではカボチャが沢山あったし何より中が空洞なのでランタンが作りやすかったから。
どちらにしろ、ハロウィンの夜は、鬼火妖精ジャックが出てくる夜というわけ。

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ちょこっと妖精学 ハロウィンに纏わるお話 1

いよいよハロウィンが近づいてきましたね。
今日からはハロウィンについて少しお話しようかと思います。
10月末日。この日は、光の季節が終わり、暗い季節が始まるとされています。
そういう陰陽が交わる日だからこそ、あちらとこちら、そして過去と現在を隔てるベールが薄くなり、ご先祖様や死者、そして妖精などが出てくると言われています。
ハロウィンの対に当たるのが5月1日ベルティネで、この前夜もまた妖精たちがやって来る夜なのです。

Illustration for the Daisy Fairy from Flower Fairies of the Spring. A small girl fairy stands facing left with a bunch of daisies in her right hand. 300.1.6 FF Spring 6 1923
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サブカルチャー妖精学発売です!

星海社さんから「サブカルチャー妖精学」が発売されました。

商業誌は3冊目ですが、もうドキドキですね。
上手く行ってくれると良いなぁ。次に繋がると良いなぁって思ってます。
もし良かったら、お手にとってご覧下さいね。
商業誌は3冊目ですが、もうドキドキですね。
上手く行ってくれると良いなぁ。次に繋がると良いなぁって思ってます。
もし良かったら、お手にとってご覧下さいね。

以下目次

はじめに ドラえもんも妖精の仲間?

第1章 妖精たちが回す運命 Fate/Grand Order

第2章 名作童話のダークコラージュ ツイステッドワンダーランド

第3章 電子から召喚されたもの 女神転生・ペルソナ

第4章 茨と夜の愛し仔の行く末 魔法使いの嫁

第5章 巨大メカと小さな妖精 聖戦士ダンバイン・重戦機エルガイムと美少女アニメ

第6章 三角帽子を被った妖精たち とんがり帽子のメモル、銀曜日のおとぎばなし……女児向け作品における妖精愛

第7章 草木百花に見え隠れする物語 スタジオジブリ作品

第8章 世界を席巻する妖精譚たち ディズニーアニメ

第9章 森からやって来た魔法戦士 TRPGの妖精たち

第10章 ドラえもんはなぜ妖精と言えるのか プリキュアシリーズ、魔女っ子シリーズ、ドラえもん

終 章 これからも広がる妖精郷

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ちょこっと妖精学 ひなぎく

野に咲くヒナギクはとても可憐です。
日本ではよく花壇に植えられていますが、ヨーロッパでは雑草扱いされていたり、牧草地にいくらでも咲いているごくありふれた花です。
しかし、ヒナギクには邪妖精たちの魔法を打ち消すチカラがあるとしたらどうでしょぅか。
あるバラッドでは、妖精女王が降り立つ野にはヒナギクが咲いていると言います。
デイジーのチカラはきっとお日様の光とともに花を開き、夕暮れには閉じるところから来ていて、太陽のチカラを秘めていわれているのです。

Illustration for the Daisy Fairy from Flower Fairies of the Spring. A small girl fairy stands facing left with a bunch of daisies in her right hand. 300.1.6 FF Spring 6 1923
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ちょこっと妖精学 妖精曲

妖精から教わった楽曲というのがアイルランドなどには伝わっています。
中には、彼らが演奏していたのを盗み聞いたという剣呑な物もありますが、中には「演奏回数を決められた」曲と言うもあったそう。
ある楽士が妖精たちが演奏している場面に出くわし、すっかり曲を覚えてしまったのです。
彼らはそれを咎めはしませんでしたが、3回までは弾いて良いと但し置いたそう。
けれど楽士はその曲の素晴らしさに負けて3回を越えて弾いてしまったのです。
もちろん楽士は命を落としてしまったのは言うまでもありません。

William Holmes Sullivan

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ちょこっと妖精学 混血

異類婚姻譚の結末と言えば別離です。
もちろん添い遂げるケースもあるにはありますが、基本形は別離で終わりを迎えます。
その過程で、人と妖精の混血児が生まれる場合が多いのですが、彼らは往々にして人以上のチカラを備えるようです。
もちろんX-MENのようなパワーではなく、豊漁に恵まれる、病を治せる等と言った生活に即したものですが、当時の生活を考えると、それが一番の授かりとも言えます。
ただ、そういう結末に至らない場合も多く語られていて、中には妖精の母親に石にされたり、殺されたりすることも。どちらの世界にも属せないのならいっそ自分の手で、ということだそうです。

Margaret Tarrant

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妖精たちのささやき茶話・海花ノ章終了しました!

愛知県高浜市にある中世ルネサンス ブックカフェ Tür テューアさん
その名の通り、中世やそれに関連する蔵書が1,000冊もある素敵な場所です。
なによりスイーツが美味しいんです! →ここ大事

そんなTürさんで21日、お話会を開催しました!

このロケーション最高じゃないですか?
船橋のOnceさんと同じく、コストマリー事務局さんが主催。
愛知県は、名古屋で何度か開催していましたが、ブックカフェでは初めて。
いやもう、いつも以上に僕が楽しみました。
なんせ気がついたら3時間も語ってたんですから。わはは。

今回も魔法陣を設置。オーナーさんがお好きだという緑をメインに。
この宝石の魔法陣で彩られた『お話の灯し火』ですが、
毎回、お誕生日月の人に願い事をして貰って吹き消して貰っています。
今回は、なんとTürさんが! 

終演後、もちろん本日の特別ケーキ「ミードケーキ」もモグモグ。
しっとりしてて優しい甘さが沁みました。
いや、本当にご近所に、こんなカフェがあったらな〜。
と、終始思っていた会でした。
コストさん、Türさん、ありがとうございます。
みなさんのご協力があっての開催でした。


演目
人魚譚 3編
アラン諸島での怖い話
魔法のフィドル
ジャックオーランタンの逸話
アンコール(耳なし芳一)etc……

また、ここで語れたら良いなぁ。

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