ちょこっと妖精学 人魚と水夫

人魚たちほど水夫たちに恐れられ、また魅力的に映った妖精はいないでしょう。
彼女らは歌声で潮流を操り、また水夫たちを海の底に引き摺り込みました。
けれど逆に、彼女たちは、水夫に攫われ妻となったと言う話も多く伝わっています。
しかしそれはあくまでも人魚たちの宝物であり、魔力の源とされるショールや帽子、そして鏡や櫛、王冠を取られたせいなのです。
日本に伝わる天人女房物語よろしく、それらを見つけた彼女らはすぐさま海に帰ってしまいます。
では、数少ない例外はというと、7年丘で暮らした後、残りは夫と一緒に海に帰ったとか、逆に笛吹と一緒に海に入り、笛吹は海王の息子となったと言うもの。
なかなか珍しい例ですが、ひとつのハッピーエンドなのかもしれません。
もし海から素晴らしい笛の音がしたなら、それは海王の娘と結婚した笛吹のものだと、お話は結ばれています。

Warwick Goble

カテゴリー: ちょことっと妖精学 パーマリンク